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    (2013年9月25日発行 A5判52頁 頒価700円)

 ・PDF版はダウンロードによりご購入可能です。(会員登録不要)  【『サングラハ』第131号】 

  ■ 近況と所感
  ■ 『金剛般若経』を読む (9) ……………………………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
  ■ 経済危機と環境問題 (3)……………………………………………………………
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (16) ……………………………………………
  ■ ウィルバー・コスモロジーの批判的考察 (4)………………………………………
  ■ 私の名詩選 (31)

 
岡野守也 
 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満 


編集後記 
  予測されていた気候変動を実感するような異常気象の連続でしたが、ご無事でしたでしょうか。
  今回、主幹の金剛般若経講義は終盤ですが、この経典が繰り返し一貫して様々な角度から、最終的には沈 黙するしかないというぎりぎりのエッセンスをあえて語っていて、はるか古代から重んじられてきたことの意味 がわかるような気がしました。確かに後は実践しかないと感じられます。
  小澤先生の〇八年の記事では、目先の経済危機ついての各識者の問題意識には環境危機とのかかわり が概ね欠如していたこと、その延長上に現在の危機の進行があることが読み取れると思います。
  羽矢先生からは引き続きミャンマーの仏教見聞記をいただいています。皆が瞑想をしているわけでは全くな いというのは日本も同じですが、総じて真面目に信仰が生きている社会とはどういう空気なのか、興味深いと 思いました。
  増田さんからはスミス氏のウィルバー‐四象限への批判の続きです。たしかに指摘のとおり詰めの甘いとこ ろが見られるのだと思いました。代案としてスミス氏が提示する枠組みとの、妥当性・有効性の突合せも俟た れるところです。
(編集担当)  





    (2013年7月25日発行 A5判52頁 頒価700円)

 ・ダウンロードにより単品購入できます(会員登録不要)。  【第130号購入へ】

 ■ 近況と所感
 ■ 『金剛般若経』を読む (8) …………………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
 ■ 大気と私のつながりに気づくワーク………………………………………
 ■ 経済危機と環境問題 (2)…………………………………………………
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (15) …………………………………
 ■ ウィルバー・コスモロジーの批判的考察 (3)……………………………
 ■ 投稿 コスモロジー教育――小学校での実践報告 (4)…………………
 ■ 私の名詩選 (30)

 
岡野守也 
 
岡野守也 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満 
松原弘和 

編集後記 
 更なる記録更新の猛暑の夏、岡野主幹、ひいては研究所が四国に移動するわけですが、幸いというか遠方で も手軽に学べる時代です。右記の頒布品について、詳しくは研究所HPをご参照ください。
 主幹による講義録の今回の『金剛般若経』は、言葉‐分別知を超えるべく徹底的に突き詰めた「即非の論理」 から、しかし手段・筏と明言しつつ言葉をぎりぎりまで尽くすという、こうして言葉で何か述べるのもまた愚かに感 じられる甚だ深い箇所です。現在主流の自由競争社会という現実(追認)主義が実にケチ臭く感じられるよう な、縁起的福祉社会という壮大な現実的理想主義ですが、しかしそれもまた絶対的な「主義」になってしまったら 「仏を謗る」ことになるという痛烈な言葉が当の経典に書いてあるのが、まさに大乗ということなのだと思われま した。
 小澤先生の解説される経済危機に関する諸提言は今を去る〇八年のもので、経済と環
境という視点の欠如に関し、その後三・一一を経て、気候の負の記録更新を続けてもなお、日本の論点は一歩 も進んでいない(むしろ後退?)と見えます。
 羽矢先生の仏教見聞記は今回からミャンマーについてです。抑圧的な軍事政権下の発展途上国、というステ レオタイプからはうかがい知れない精神文化と感じられます。
 増田さんのウィルバー批判紹介は、今回と次回に分け、スミスという人のホロン概念に関する批判と提言とな ります。理性的かつ建設的な批判が期待されます。
 松原さんからは、われわれの記憶からは想像がつきにくいほど難しくなっている小学校の現場での、コスモロ ジー教育の貴重な報告、最終の四回目です。個人的な力量に加え、コスモロジーの生きる力を伸ばす効果を実 証する実績と思われます。
(編集担当)  




    (2013年5月25日発行 A5判52頁 頒価700円)

・ダウンロードにより単品購入できます(会員登録不要)。 " 【第130号購入へ】"


 ■ 近況と所感
 ■ 『金剛般若経』を読む (7) …………………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
 ■ 大気と私のつながりに気づくワーク………………………………………
 ■ 経済危機と環境問題 (1)……………………………………………………
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (14) ……………………………………
 ■ ウィルバー・コスモロジーの批判的考察 (2)………………………………
 ■ 投稿 コスモロジー教育――小学校での実践報告 (3)…………………
 ■ 私の名詩選 (29)

 
岡野守也 
 
岡野守也 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満 
松原弘和 

編集後記 
 今号から文字を少し大きめに改めてみました。
 岡野主幹の『金剛般若経』講義録は、経典を一周しより深められた後半に入りました。深い「空と慈悲」の菩薩の 話が、壮大な「仏土の荘厳」=理想国家の実現・社会運動に直結していることがわかります。
 受講者にはおなじみの大気のワークですが、その無償サポートを離れてはわずかも生きられないと日々気づい ているかどうか。「わざと」が重要なのだと再認識です。
 小澤先生の数年前の連載以降、経済・景気一辺倒で環境を無視する傾向はよりどぎつくなっており、立ち止まっ て今こそ読み返すべきと思われます。
 羽矢先生のスリランカ仏教見聞記では、インドから周縁へタイプは違えど仏教が伝わり受容され、神話や歴史と して今も根付いている姿は我が国も同じだと思われます。
 増田さんの記事は、ウィルバーの『進化の構造』のまさに「進化」に関する本国での批判の紹介です。なるほどと 思う一方、批判に対する検証が俟たれます。
 松原さんの記事は、新しいクラスでのコスモロジー教育の実践です。「わざと」やらなくとも自然に身についている 次世代が育ちそうです。
(編集担当)  




  (2013年3月25日発行 A5判52頁 頒価700円)

・ダウンロードにより単品購入できます(会員登録不要)。 『サングラハ』第128号
 (記事一覧)
 ■ 近況と所感
 ■ 『金剛般若経』を読む (6) …………………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
 ■ 「私はどこにいるか」に気づくワーク………………………………………
 ■ 日本の「温暖化懐疑論」という現象………………………………………
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (13) ……………………………………
 ■ ウィルバー・コスモロジーの批判的考察 (1)………………………………
 ■ 投稿 コスモロジー教育――小学校での実践報告 (2)…………………
 ■ 私の名詩選 (28)
 
 
岡野守也 
 
岡野守也 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満 
松原弘和 

編集後記 
  かつて予見された気候変動がその通り現実化したと感じられる昨今です。さて、今回の岡野主幹の金剛経講座 はある意味の総括といった甚だ深い経典の箇所の解説で、はるか後世(今)にこそ宇宙的‐最高の功徳があるとい う経典の主張にも、リアルな迫力が感じられました。コスモロジーの居場所のワークは、そういう深い世界への、現 代人にとって納得できるベースとなるものだと思います。小澤先生は前回の高世さんと同じ「地球温暖化懐疑論」を 取り上げられています。五年後を得意に語る「科学者」はその結果が出た今何を語っているのでしょう? 羽矢先 生からは今回、スリランカのお寺の、日本の禅のイメージなどと比べると少し柔らかい修行の姿が紹介されていま す。増田さんの連載、ウィルバー思想に対する冷静で理性的な懐疑論が紹介・展開される予定です。松原さんから は、コスモロジー教育の小学校での適用のご報告の第二回投稿をいただいています。
(編集担当)  



  (2013年2月15日発行 A5判68頁 頒価700円)

・ダウンロードにより単品購入できます(会員登録不要)。 『サングラハ』第127号
 (記事一覧)
 ■ 近況と所感
 ■ 『金剛般若経』を読む (5) …………………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
 ■ コスモロジー的日向ぼっこのワーク………………………………………
 ■ なぜ反原発の旗手はCO2地球温暖化説を批判するのか………………
 ■ スウェーデンの「脱原発政策の歩み」 (3)…………………………………
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (12) ……………………………………
 ■ 書評『社会民主主義とは何か』 (3)  ……………………………………
 ■ 投稿 コスモロジー教育――小学校での実践報告………………………
 ■ 私の名詩選 (27)
 
 
岡野守也 
 
岡野守也 
高世仁 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満 
松原弘和 

編集後記 
 遅れましたが、本年もよろしくお願いします。主幹の『金剛般若経』講座は前半の佳境、(実体的に)何も学ばない ことが、しかし宇宙的な本当の宝になるという、何とも非常に深いことが語られている個所と感じられました。コスモ ス・セラピーの記事は、その深さのいわば現代版初級編、日向ぼっこのワークが実践的に紹介されています。高世 さんが俎上にされる反原発論者のCO2地球温暖化否定論、気候について専門外のはずの人々の「反応」の動機 が抉られています。小澤先生によるスウェーデンの「脱原発」への前進の道のりは、それがなし崩し的に後退してし まう残念な日本ときわめて対照的です。羽矢先生の紹介される現代スリランカ仏教は、社会の真面目さを輪廻転 生の死生観が裏付けている姿だと思われました。増田さんの書評はスウェーデン社会民主主義の四象限理論か らの分析です。確かに問題は国の規模などでなく、政治姿勢に違いありません。
(編集担当)  



  (2012年11月25日発行 A5判48頁 頒価700円)

・ダウンロードにより単品購入できます(会員登録不要)。 『サングラハ』第126号

  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ 『金剛般若経』を読む (4)   ………………………………………
    ※一部抜粋はこちら
  ■ コスモス・セラピーのアファメーション(自己説得の言葉)…………
  ■ スウェーデンの「脱原発政策の歩み」 (2)  ………………………
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (11) ……………………………
  ■ 書評『社会民主主義とは何か』 (2)  ………………………………
  ■ 私の名詩選 (26)
 
 
岡野守也 
 
岡野守也 
小澤徳太郎 
羽矢辰夫 
増田 満

編集後記 
 誌面でも紹介のとおり、本誌連載をもとにした岡野主幹の新著が刊行されます。今後の厳しい時代に、本当の意 味での「ストイック」こそ「かっこよく」なってほしいものです。
 主幹の金剛経講義では、さらに徹底した空・非実体・一体性の境地が語られており、道元、空海の一見反対の言 葉に込められた限りない深さが垣間見える気がしました。
 コスモス・セラピーの記事は自己説得の言葉について。賢人皇帝が帝国の難局に対処し生き抜いた心の技の、 現代的に根拠づけられ進化したヴァージョンと言えるでしょう。
 小澤先生の五年前の記事からは、スウェーデンのいわば「卒原発」が八〇年の国民投票から数えても日本の三 十年以上先を行っていたことは確かで、来る投票日ではその意味をよく理解し臨みたいと思いました。
 羽矢先生のスリランカ仏教見聞記から、古来の神々と仏教の関係、篤信の人々、開放的なお寺など、国は違え ど確かに私たちにも懐かしかったはずの風景なのだろうと感じました。
 増田さんのスウェーデン社会民主主義に関する書評は政治思想とあって硬質な表現ですが、市場に関する評価 と、まるで縮みゆく今の日本を描写したかのような批判(例:四三頁の引用)が首相経験者のものであることに、緑 の福祉国家を志した政権政党の真髄を見る思いがします。
(編集担当)  




  (2012年9月25日発行 A5判48頁 頒価700円)

  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ 『金剛般若経』を読む (3)   ……………………………………
  ■ 前近代―近代―現代のコスモロジーの変遷
     ―ポイントの整理表と小解説  ………………………………
  ■ スウェーデンの「脱原発政策の歩み」 (1)  …………………
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (10) …………………………
  ■ 書評『社会民主主義とは何か』 (1)  …………………………
  ■ 私の名詩選 (25)
 
 
岡野守也 (研究所主幹) 
 
岡野守也 (研究所主幹)
小澤徳太郎(環境問題スペシャリスト)
羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
増田 満 (交流会員)

編集後記 
 移転のお知らせは残念ですが、研究所の活動は続き、東京でも月一度講座が予定されています。さらに原発の 脅威も考えれば「移住」も実際ありうる選択です。
 さて、金剛般若経講座の、非実体を心底に徹し全コスモスの宝を全衆生のために施すという、これ以上ない高邁 な理想、まさに「大乗」と感じます。
 コスモロジー整理表は、近代の絶望から現代の全宇宙を包含する大逆転への見取り図ですが、これを深層心理 に徹するためのポイントは、デジタル的セルフトークにありとのことです。
 羽矢先生の見聞記では、日本から失われた、社会に生きた信仰の姿の静かな熱気が感じられます。
 小澤先生の07年のブログからは、その後3・11を経た状況を見るにつけ、当時のスウェーデンの視点がすでに 日本の現状のずっと先を行っていたことが理解できます。
 増田さんによる、スウェーデン元首相の書く社会民主主義の理念と挑戦への書評は、「脱原発」へのバックキャス トもまた明確な理念とビジョンに基づくことを明示しています。
(編集担当)  




  (2012年7月25日発行 A5判48頁 頒価700円)

  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ 現代科学のコスモロジー ―ポイントの整理表と小解説 ……
  ■ 『金剛般若経』を読む (2)   …………………………………
  ■ 原発は持続可能な社会にふさわしいか (3)  ………………
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば (9)  …………………………
  ■ 書評“Bald Ambition: A Critique of Ken Wilber's Theory
     of Everything” (ジェフ・マイアーホッフ『禿の野望―ケン・
    ウィルバーの万物の理論の批判』) ……………………………
  ■ 私の名詩選 (24)
 
 
岡野守也 (研究所主幹) 
岡野守也 (研究所主幹)
小澤徳太郎(環境問題スペシャリスト)
羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
 
 
増田 満 (交流会員)

『サングラハ』第124号が出ています! (研究所主幹)
  忙しさに取り紛れ、『サングラハ』第124号が出ていたことの広報を忘れていました。
  今回も充実した原稿が揃っています。
  ブログに分けて掲載した「現代科学のコスモロジー――ポイントの整理表と小解説」も一括掲載されていま す。
  ブログは手軽で便利ですが、やはり紙媒体でしかも断片的にでなく一括して全体を学ぶほうが心の底への 定着率が高いという気がします。
  読者のみなさん、ぜひ紙媒体でもお読みください。

編集後記 
 予定通り刊行の今号、主幹からは現代の病=ニヒリズムを克服するコスモロジーの転換点整理の論考と、 実体視を離れしかしエネルギッシュに現実に取り組む大乗仏教の原点かつ高邁な理想を読み解く講義録第 二回を、小澤先生からは3・11を経験した目からはまるで予測していたかのような現在の論点と解決の方向 性が示された過去記事を、羽矢先生からは瞑想・修行の伝統が生き尊ばれている共同体の誇りに満ちたと した人々の姿のレポートを、増田さんからは大哲学者の思想を絶対化することなく批判(批判者自身の動機 が何なのか気になるものの)をも冷静に評価・受容する書評を、それぞれいただいています。  (編集担当)




   (2012年6月15日発行 A5判56頁 頒価700円)

  (記事一覧)
 
  ■ 近況と所感
  ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 6  ……………
  ■ 『金剛般若経』を読む 1   ……………………………………
  ■ なぜ電力自由化が必要なのか 2
      ――再エネの普及で社会は変わる  ………………………
  ■ 原発は持続可能な社会にふさわしいか 2  ………………
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 8  …………………………
  ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 14  ……
  ■ 私の名詩選 23
  
  
  
岡野守也 (研究所主幹)
岡野守也 (研究所主幹)
 
高世 仁 (ジャーナリスト)
小澤徳太郎(環境問題スペシャリスト)
羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
増田 満 (交流会員)


『サングラハ』第123号発刊について (研究所主幹・岡野守也)
 
 日本の現状にあきれて、腹が立って、ため息が出て……という状態で、『サングラハ』の第123号がすでに 出ていたことのお知らせを忘れていました。

  鹿児島県知事選は、脱原発派の健闘にもかかわらず敗北に終わりました。とても残念です。
  しかし、日本の地方政治のほとんどが短期の利権の構造で動いてきたというのは、これまでもいまでも基 本的に変わらないままなので、当然といえば当然の結果だろうな、とも思っています。
  なので、私としては、日本を変えたい人には、地方から変えようというアプローチをしないで、正面から断 固、国政を変えるというアプローチをしてほしいと願っています。
  国が持っている圧倒的な権限から考えて、地方から始めて国全体を変えるというアプローチの成功可能 性はかなり低いと思われるからです。
  もちろんきわめて困難ではあるにしても、直接利権にからんでいない首都圏や京阪神の大都市圏の「支 持政党なし」の層に支持されるような新党が国政を変えるというシナリオがいちばんありうるシナリオだと思え るのですが、読者はどうお考えでしょうか?
 
 それはともかく、微力ながら、『サングラハ』は内面と外面の変革を並行して、という提言を持続しています。
  たくさんの方のご理解・ご協力・ご参加をお願いします。まずは、『サングラハ』をお読みください。

編 集 後 記 
 遅れましたが123号をお届けします。
 オウム逃亡犯逮捕の報道、その潜伏先が私の自宅間近で因縁を感じました。あの集団的狂気は、思えば 日本の精神的転落を告げるものでした。それは信念や内面一般への強烈で根深い警戒感を植え付け、そ の再獲得がぜひ必要な時代に、なお引っかかっている「傷」となっています。
 さて、主幹の新連載は『金剛般若経』講座です。空という用語の成立以前に大乗仏教のエッセンスを伝え たお経、その真意を深く読み語った講義録は、画期的だと思われます。
 『自省録』は最終回です。宇宙と一体の不動心・宇宙市民の自覚で、公益に生き死にした皇帝の姿。今お 風呂の漫画・映画で流行の古代ローマですが、前者のイメージこそ広まってほしいものです。
 高世さんからは、再エネについての第二回。原発再稼働へと向かいつつある中、ぜひ再エネによる地方主 体の社会変革へと転換すべきだと改めて思いました。
 小澤先生の三・一一以前の記事からは、なぜ日本の現政権が今それを強行するかの根っこが見えます。 この記事をもとにした先生のブログが連載中です。ぜひご覧ください。
 羽矢先生によるスリランカ仏教、修行の伝統が実社会に健全に生きている姿には、それが醜く歪められた 事件を経た私達へのヒントがあると思われます。
 増田さんの連載も最終回です。進化する大思想に触れると同時に、その紹介にとどまらない増田さんによ る秀逸な解釈が待たれる連載でした。次のウィルバー批判についても期待です。 
  (編集担当)  





   (2012年4月10日発行 A5判48頁 頒価700円)
  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 6   ………… 岡野守也 (研究所主幹) 
  ■ 原発は持続可能な社会にふさわしいか 1   …………… 小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 7    …………………… 羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
  ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 13  … 増田 満 (交流会員)
  ■ 私の名詩選 22

『サングラハ』第122号が出ました (研究所主幹・岡野守也)

 少し遅れましたが、『サングラハ』誌、今年2回目、第122号を刊行することができました。
 「近況と所感」は、ちょうと今の近況と所感なので、転載して読者のみなさんにもシェアしたいと思います。


 今年は長い長い冬でした。彼岸を過ぎてもなかなか本格的に暖かくならず、遅い春はゆっくりと近づき、一 週間ほど遅れてようやく桜が咲きました。すると、今度は花冷えです。
 それでも自然の季節には春が来ますが、政治や経済の春はまだはるかに遠いようです。とても残念です が、諦めないで待ちましょう。
 また、自然とちがって人間の世界のことですから、待つだけではなく促進することもできます。どうすれば世 の春を呼び寄せることができるか、相変わらず考え続けながら、みなさんに幸せになっていただけるよう、い つも神仏・天地自然・祖霊に祈っています。

 さて、「近況と所感」なのですが、今回、所感については講義のところでも名詩選でも十分に述べましたの で、ごく一、二だけ加えておきます。
 まず、原発事故と放射能汚染のことですが、これは政府や大きなメディアの報道が撒き散らしているイメー ジと異なり、まったく収束などしていない、非常事態は続いている、と私は判断しています。
 汚染状況と特に福島原発の四号機の状態は、可能な人は東日本を離れたほうがいいかもしれない、という 状態だと思われます(詳しくは私のブログ、「持続可能な国づくりを考える会」のブログ、小出裕章氏関連のブ ログなどを参照してください)。
 明治の津波の経験から、三陸・津軽地方には「津軽てんでんこ」という言葉があるそうです。津波が来た ら、人のことを心配するよりはまずそれぞれ・てんでに逃げて、一人でも被災者を少なくしよう、という知恵で す。今、東日本は「津軽てんでんこ」の状況にあるのではないか、と感じています。

 それから、これは重要なのであえて書いておきますが、今、信頼し支持できる政党がないという感じの中 で、「大阪維新の会」が大きく飛躍するかもしれないという状況があるのに対して、私は期待ではなく大きな危 惧を感じているということです。
 小泉政権成立の時も「小泉さんなら何かしてくれるかもしれない」という期待感で多くの人が支持をしました が、もたらされた結果は格差社会でしかなかったように、「橋下さんなら何かしてくれるかもしれない」という期 待は、ほぼまちがいなく裏切られることになるでしょう。なぜなら、彼の基本姿勢は小泉氏同様、依然として 新自由主義的な成長志向でしかないからです。新自由主義的な成長志向は、エコロジカルに持続不可能な 路線です。
 歴史を振り返ると、ヒトラーやムッソリーニの登場の時も、大衆は「彼なら何かしてくれるのではないか」と期 待したようです。しかし、ドイツ国民、イタリア国民は大変な悲劇に導かれました。「誰かに何とかしてほしい」 という気持には共感しますが、「何とかしてくれるのはそういうタイプではなく、スウェーデンのブランティング、 ハンソン、エランデルといったタイプのリーダーだ」と、ここで改めてはっきり言っておきたいと思います。
 これはもちろん、私の個人的見解であり参考意見ですが、ぜひ参考にしてそれぞれに考えてみていただけ ると幸いです。

 次は、少しだけ近況報告です。
 三月は大学は春休み、常勤の先生方とちがって非常勤・兼任講師は仕事がなくてまったく自由なはずなの ですが、シンポジウムの用意その他の原稿等々で、意外に時間がない感じでした。
 (前号で予告申し上げた、大学でのアンケート調査の結果はまとめる時間がなかったので、また次の機会 にしたいと思っています。)

 三月十日、東洋大学で行なわれた国際セミナー「環境の危機と人間の危機―自然と共生する社会とは―」 (東洋大学主催・茨城大学共催)に参加し「新しいコスモロジーと緑の福祉国家」という発表をしました。
 翌三月十一日は、藤沢のミーティングルームを使って行なった「持続可能な国づくりの会」の学習会で、「ど うしたら原発は止まるか」という講演をしました。これは、会のブログや私のブログで書いてきたことのこの段 階でのまとめの話でした。ミーティングルーム始まって以来の部屋いっぱいの盛況でした。
 三月二十日、文京シビックセンターで行なわれた公共福祉研究センター+公共哲学カフェ主催のシンポジ ウム「震災復興から持続可能な福祉社会に向けて―宗教は公共的役割を果たせるか?」で「仏教の公共的 役割―その可能性について」という発題をしました。ここでは、私たちに比較的近い考えを持っている民主党 の若い国会議員さんも来ていて、発題を熱心に聞いてくれました。『「日本再生」の指針』も差し上げておきま したが、反応はまだです。

 講演などの内容はどれもみな、サングラハ関係者のみなさんには繰り返しお伝えしてきたことなので、ここ では繰り返しません。
 ただ、「持続可能な社会」というテーマはますます話題になるようになっていて、「いわゆる専門家ではない 私にも、いろいろ発言の機会が与えられるようになったなあ(これからも増えるかな?)」という感じでした。
 「持続可能な社会の実現のためには四象限にわたる条件が満たされる必要がある」「政治を抜きにしては 実現しない」という主張も、「聞いてはもらえるようになった」という感じですが、まだ「なるほどそういう視点も あるんですね」とか「そうかもしれませんね」程度の受け取られ方で、「そうですね」とか「一緒にやりましょう」 という話にはなりません。
 率直なところ、大げさに思われるかもしれませんが―多くの地震学者が「一〇〇〇年周期の地震活発期に 入った」と言っているので、それが正しいとすれば、少しも大げさではないと思いますが―もう一度、地震―津 波―原発事故―放射能汚染―日本全土のチェルノブイリ化、ということにならない前に、日本が変わるのが 間に合うようにと、祈らずにはいられない気持です。
 加えて、そうした状況の中、原発再稼動など、もしやったとしたら、許しがたい歴史的愚行だと思います。
 そういう意味では、とてもじれったい気がしていますが、それが日本の現状なのですから、じっと忍耐して、 話が通じるようになるまで、気長に発言を続けるほかありません。
 ぜひ、みなさまの気長なご理解・ご支援、そして何よりもご参加を、改めてお願いいたします。
 
編 集 後 記 
 美しい春、「近況と所感」のとおり、政治・経済にも春が来てほしいものです。
 岡野主幹の自省録講義、コスモス的に真実であろうとした最高権力者の、死が解放に思えるというひじょう に率直なことばに、ユーモアとともに「本当に大変だったんだろうなあ」と、スケールはともあれ共感を覚えま す。
 小澤先生のブログからの新連載は、現在ほぼ盲点になっている冒頭の問いかけから。3.11よりずっと前 の記事ですが、遅まきながら今こそ、原発を巡る論議にこの全体的視点が必要だと思われます。
 羽矢先生からは今回は台湾の仏教見聞記をいただいています。日本に近しい、ブッダのことばが伝わった 国の、その仏教の変容・発展は著しいようです。
 増田さんからは「ウィルバー5」その2の的確な要約です。難解な内面の外側・外面の内側…が私にも理解 できた(ような)気がしました。
(編集担当)  




   (2012年2月10日発行 A5判72頁 頒価700円)
  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ 認知症高齢者と胃ろう――その意向は尊重するべきである  大井玄(東京大学名誉教授・医師)
  ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 5  岡野守也 (研究所主幹) 
  ■ なぜ電力自由化が必要なのか――「発送電分離」の意味  高世仁(ジャーナリスト)
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 6  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
  ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 12  増田 満 (交流会員)
  ■ 私の名詩選(アンソロジー) 21
編 集 後 記 
 少し遅れの新年号、そして創刊二十周年最初の号です。
 大井玄先生からの寄稿は、人間の意思それ自体を根本的に捉え直し、胃ろう等を巡る認知症高齢者の意 思尊重を強く喚起するものです。 主幹の『自省録』講義のいわばコスモス的論理療法、厳しい時代の心の 予防薬にしたいものです。 3・11後の国のかたちを決める電力体制についての高世さんの論考は次号以降 継続の予定、ご期待下さい。 羽矢先生からは仏教としては意外なバングラディッシュについて。違う姿の仏 教にその広がりを実感します。 増田さん連載は今回からウィルバー5。全象限・全レベルにわたる視点相 対化の徹底さが際立つウィルバー最新論、こちらも次号期待です。




   (2011年12月15日発行 A5判64頁 頒価700円)
  (記事一覧)
  ■ 近況と所感
  ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 4  岡野守也 (研究所主幹)
  ■ スウェーデンの新たな挑戦 ――緑の福祉国家 12  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 5  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
  ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 11  増田 満 (交流会員)
  ■ 私の名詩選(アンソロジー) 20

編 集 後 記 
 創刊120号となりました。今回も、戦場や宮廷の厳しい状況の中での気高い皇帝のセルフトークは、別の 危機の時代にいる者の心を捉えます。
 小澤先生の講座が完結、緑の福祉国家に向けてスウェーデンがいかに計画的に周到に進んできたかを見 てきました。次回からもご期待を。
 羽矢先生のエッセイでは、最近政治的に耳にすることの多いミャンマーが今でも瞑想「大国」であることが わかります。
 増田さんの連載はウィルバー4の政治的応用とその実例の話ですが、一方わが日本の状況は…実に歯が ゆい限りです。
                                                       (編集担当)



会報 『サングラハ』 第119号  (2011年9月25日発行 A5判68頁 頒価700円)
 
   (記事一覧)
■ 近況と所感
■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 3  岡野守也  (研究所主幹)
■ 無視されたご先祖さまの警告  高世 仁  (会員・ジャーナリスト)
■ スウェーデンの新たな挑戦 ――緑の福祉国家 11  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 4  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 10  増田 満 (交流会員)
■ 私の名詩選(アンソロジー) 19

編 集 後 記 
 猛暑の夏を過ぎ異常気象の連続ですが、皆様にはいかがお過ごしでしょうか。
 主幹の『自省録』講義三回目、困難な時代に屈しない本当の意味での強い心とそれを養う哲学、その真
髄がこの書に生きた形で込められていることがわかります。
 高世さんからは今回、津波被害をぎりぎりで免れる神社に込められたご先祖様のメッセージについて寄
稿をいただきました。
 小澤先生記事では、引き続き製造者責任制度から持続可能な農業・林業の確立までのシステマティック
という他ない歩みが、羽矢先生連載では、つながりのさとりというブッダの説いた教えの本質と瞑想だけで
ない修行法の関係が、増田さんのウィルバー論では、哲学上の心身問題へのウィルバー4の適用とホロン
概念の再検討によるアプローチが、それぞれ語られていて必読です。
                                                       (編集担当) 




会報 『サングラハ』 第118号  (2011年8月15日発行 A5判68頁 頒価700円) 
 
   (記事一覧)
 ■ 私の名詩選(アンソロジー) 18
 ■ 近況と所感
 ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 2  岡野守也  (研究所主幹)
 ■ 誰も得しない原発  2  高世 仁  (会員・ジャーナリスト)
 ■ スウェーデンの新たな挑戦 ――緑の福祉国家 10  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 3  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
 ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 9  増田 満 (交流会員)
 
『サングラハ』第117、118号が出ました

 サングラハ教育・心理研究所の会報『サングラハ』の第118号が出ました。
 忙しさに取り紛れて、前回の第117号を掲載するのも忘れていたので、併せて掲載します。
 従来の連載に加えて、第117号から、気鋭のジャーナリスト高世仁氏の「誰も得しない原発」の連載が始
まっています。
 購読のお申し込みは、表紙のメールまたはファックスでどうぞ。
 (研究所主幹のブログ 2011.8.23より)

編 集 後 記 
 明白な気候変動、大震災‐原発事故等々、まさに歴史の転換期にありますが、そんな中、今号もまた時代
をよいほうに転換させる指針を目指しています。
 名詩選はコスモスの中で立つ樹」についての真夏の深い詩の観賞で、巻頭拡大版となっています。
 主幹の『自省録』講義二回目、神=宇宙を常に想い、その信念を胸というか腹)に国家元首かつ軍人とし
て雄々しく働きつつ、敵をも同じ宇宙市民と記すその飾りなき言葉は感動的です。
 高世さんによる原発についても第二回、事故の先例の経験と教訓は活かされなければなりませんが、情
報の隠蔽姿勢という点で日本は先例と同じ轍を踏んでいるようで、そこにはリーダーらの根本的・コスモス
的な勇気のなさがあると、同じ日本人として感じます。
 小澤先生の講座は、前回に続きスウェーデンが確立した廃棄物政策です。いつもながらですがその計
画・実行・確実な成果、なるほど「認識」と「やる気」の問題に違いありません。
 羽矢先生のエッセイ、すでに古代から誤解されてきたという「涅槃」とは、実感は難しくとも、炎として消え
るのは命ではなく苦しみ、消すものは瞑想だとして、ブッダがコスモスとの一体の境地を表現した言葉だっ
たことがわかります。
 増田さんの連載はウィルバー4・四象限の続きとホロンについて。「入門」としては若干レベルが高いです
が、ウィルバーが提示したものよりよりもさらに踏み込み増補した本格的な議論になっています。
                                                       (編集担当) 




会報 『サングラハ』 第117号  (2011年5月25日発行 A5判64頁 頒価700円)
 
    (記事一覧)
 ■ 近況と所感
 ■ マルクス・アウレーリウス『自省録』を読む 1  岡野守也  (研究所主幹)
 ■ 寄稿 誰も得しない原発  高世 仁  (会員・ジャーナリスト)
 ■ スウェーデンの新たな挑戦 ――緑の福祉国家 9  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 2  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
 ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 8  増田 満 (交流会員)
 ■ 私の名詩選(アンソロジー) 17

編 集 後 記 
 恐ろしい原発事故について主要メディアの情報が信用しかねる中、ジャーナリストの高世さんより、チェル
ノブイリ周辺の取材をもとにした貴重なレポートの寄稿をいただきました。原発のコストが長期にわたりあま
りにも高くつき、ついに国をも傾かせるという、今直視すべき実例です。
 三・一一と原発とさらに混迷する日本に、普通の常識では心が折れそうですが、そんな困難な中でも高貴
に毅然と生きることを可能にする思想について、主幹の新しい講義録が始まりました。古代ローマの人の、
しかも皇帝の言葉が、なんと身近ですがすがしく聞こえることでしょうか。
 残念ながらご紹介しきれませんが、そのほかの記事もこの時代に読んでいただくにふさわしい、充実した
ものとなっています。
 (編集担当)



 
会報 『サングラハ』 第116号  (2011年3月25日発行 A5判64頁 頒価700円)
 
   (記事一覧)
 ■ 近況と所感
 ■ 『十七条憲法』と緑の福祉国家 8 (最終回)  岡野守也  (研究所主幹)
 ■ スウェーデンの新たな挑戦―緑の福祉国家 8  小澤徳太郎(環境問題スペシャリスト)
 ■ 続々・ゴータマ・ブッダのことば 1  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
 ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 7  増田 満 (交流会員)
 ■ 学びのことば 18

サングラハ第116号が出ました

 今年の春は、なかなかのどかに楽しむという気分になれません。
 しかし、春の草花は季節どおり花を咲かせていて、ひと時、心をなごませてくれます。
 少し心を休ませては、またこれからどうすれば日本をいい国にできるのかということを考え続けています。
 方向としては「『十七条憲法』と緑の福祉国家」ということでまちがいないと思っているのですが、日本国民
のみなさんの圧倒的多数の理解と支持を得る、ということにはまだなっていないのは、なぜでしょうか。
 しかし、お陰様で、本ブログの閲覧者数はここのところかなり多くなってきています。徐々にもっとたくさん
の方に理解・共有していただけることを祈っています。
 いいと思われたみなさん、よろしければ、さらに一歩踏み込んで、『サングラハ』誌もご購読ください。
 最新の第116号が昨日出来上がり、会員の方には発送申し上げました。
 (研究所主幹のブログ 2011.4.10より)

編 集 後 記 
 まさかと思うような大災害の発生、しかも恐るべき原発危機が目下進行中です。被災された方に御見舞
申し上げ、復興と安全を祈ります。この国難がひいては和の国・日本の再興のきっかけとなるとすれば、必
要なのは明確な理念とビジョンに基づく政治的意思です。
 奇しくも小澤先生は今回、そのような中長期的な国家的意思により、原発に期待しない持続可能な省エネ
ルギー体系を着々と築いてきたスウェーデンの歩みを紹介されていますが、その核心に賢明で明確な理念
とビジョンがあったことが、主幹の講義録が紹介する、長く主権政党を担った社民党の綱領からはっきりと
読み取れます。
 が、その国ですら、「すべては結局意味がない」という近代の限界に直面せざるを得ない…。今回から開
始した羽矢先生のエッセイでは、ブッダが、人はそのような錯覚をもたらす「私」をやがて超えるべきこと、そ
して人の欲望は世界中心的なものになりうることを、すでに二千五百年前に見通していたことがわかると同
時に、その仏教を古代日本が国教化した意味が今こそ感じ取れます。
さらに、増田さんの「ウィルバー3」に関する概説からは、彼のコスモロジーの基礎にそのような自己超越に
至る心の発達の極めて精緻な見取り図がベースとしてあったことに気付きます。
 いずれも、宇宙の中である意味で翻弄される私たちに、一方で与えられた宇宙的な可能性を思わされま
す。 
 (編集担当) 




会報 『サングラハ』 第115号  (2011年1月25日発行 A5判64頁 頒価700円)
 
    (記事一覧)
 ■ 近況と所感
 ■ 講演 宇宙の中のいのちの意味  岡野守也  (研究所主幹)
 ■ 『十七条憲法』と緑の福祉国家 7  岡野守也  (研究所主幹)
 ■ 市民連続講座スウェーデンの新たな挑戦―緑の福祉国家 7  小澤徳太郎(環境問題スペシャリス
ト)
 ■ 仏教思想の源流 23  羽矢辰夫  (青森公立大学教授)
 ■ ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 7  増田 満 (交流会員)
 ■ 書評 『インテグラル理論入門U――ウィルバーの世界論』  増田 満 (交流会員)
 ■ 私の名詩選(アンソロジー) 16

サングラハ第115号が出ました
 先日、『サングラハ』第115号が出ました。
 今回の筆者の主な文章は、スウェーデンがなぜすばらしい福祉国家をつくることができたのか、古代から
近代までの歴史を概観するものです。
 現在の日本の混迷をどうすればいいのか、スウェーデン・モデルが大きなヒントになるというのは何度も繰
り返してきたことですが、では、なぜスウェーデンにできて日本にできなかったのかということが今回の文章
でよくわかっていただけるのではないかと思っています。
 なぜできたか、できなかったかがわかるということは、次にではどうすればできるようになるのかを考える
ための基本になります。
 これからの日本を「どうにかしなければ」と思っている方には必ず参考になるはずです。ぜひ、ご購読くだ
さい。
(研究所主幹のブログ「伝えたい!いのちの意味―岡野守也の公開授業+α」 2011.1.13引用)


編 集 後 記 
  謹賀どころかさらなる混迷の観のある新年、時代が急激に動くのを感じざるを得ません。さて、今回は
主幹による障害者の方への講演原稿を掲載しました。一三七億年がわずかに三頁!ですが、目先の状況
に翻弄されぬよう、宇宙としての自他のいのちの意味の自覚を促す、エッセンスのみ・超ダイジェストです。
主幹の講義録は、トップの優等生・スウェーデンが「なぜ」可能になったかのポイントを示しています。そし
て、小澤先生連載に表れている国を挙げてのスウェーデンの「新たな」挑戦からは、そうした「なぜ」の結
果、彼らが現在「いかに」あるかという、その表裏一体の関係が読みとれます。人格と同じく豊かな民族性も
また歴史が作り出す。われら日本人は、専ら遺産を取り崩すことで、ついにここまで来たのでしょう。羽矢先
生の「仏教思想の源流」が最終回となりました。「私」を含んで超えまわりと一体でありうるという理想、深い
意味での「自立と連帯」は、聖徳太子以来の仏教国である日本の源流でもあったはずです。増田さん連載
の今回の「ウィルバー2=アートマン・プロジェクト」は、そのように個人性を含んで超える意識の成長が、時
代や文化を問わず人間に普遍的であることを示す理論です。が、それにとどまらず、さらに「3」から「5」ま
で進化・複雑化する理論、その批判的検討も含めた書評を、増田さんから今回いただいています。 
 (編集担当)




会報 『サングラハ』 第114号  (2010年12月5日発行 A5判64頁 頒価700円)
 
   (記事一覧)
 近況と所感
 生死のはざまにて 12 ――祈りとつながり  大井 玄 (東京大学名誉教授・医師)
 『十七条憲法』と緑の福祉国家 6  岡野守也 (研究所主幹)
 市民連続講座 緑の福祉国家 6  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
 仏教思想の源流 22 ――ゴータマ・ブッダの思想 (5)  羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
 ケン・ウィルバー ――コスモスの地図の制作者 5  増田 満 (交流会員)
 私の名詩選(アンソロジー) 15

編 集 後 記  
 今号、大井玄先生より記事をいただいています。「自分」という意識がいかに無意識の深みに依拠してい
るか、唯識的洞察を、今では外面の脳科学が明らかにしているのは驚きで、特に信仰というものが心/脳
の働きの本質に基づく奥深い営みであることが納得されます。
 主幹の講義録は、古代日本の国家理想から現代スウェーデンという国家モデルに移行。今回、数々のデ
ータからその達成がいかに高度なものかがわかります。
 一方、小澤先生の市民講座から、緑の福祉国家に向けたバックキャストが、スウェーデンではすでに七〇
年代から着実に進められてきたことが確認できます。
 いずれも日本とはあまりに対照的ですが、われら「空気」で動く民族は、モデルに気付けば行動も早いは
ず。
 羽矢先生意訳によるブッダの言葉は、私たちがこうして使っている言葉こそ苦=錯覚の原因であると指
摘します。言葉をただの道具と深く思いこみ、その問題性に気付かないことがとりわけ現代人の問題なの
かもしれません。
 増田さんによるウィルバー入門、自身「レトロ・ロマン主義」と総括しているこの「ウィルバー1」とは、統合
思想の進化の原点といえるのでしょう。いずれにせよ、これがすでに二十代前半の仕事とは、天才とはすご
いものです。         
 (編集担当)                                             




会報 『サングラハ』 第113号 (2010年9月25日発行 A5判64頁 頒価700円)

  (記事一覧)
  近況と所感
  死後の生について 続 岡野守也 (研究所主幹)
  『十七条憲法』と緑の福祉国家 5 岡野守也 (研究所主幹)
  市民連続講座 緑の福祉国家 5  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  仏教思想の源流 21 ―ゴータマ・ブッダの思想 (4)  羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
  ケン・ウィルバー ―コスモスの地図の制作者 4  増田 満 (交流会員)
  私の名詩選(アンソロジー) 14

編 集 後 記 
 今夏の異常気象はあの敗戦も超える事態のはずですが、日本の危機感のなさ、思えばこれぞ異常です。
 主幹による死後の生・続、前回と合わせれば、いかに常識と隔絶していても(最低限内面の)事実…これ
は聞き過ごせない話です。同様の体験の投稿特集なども面白いと思います。
 講義録は『憲法』が終了、過去の原点から未来のモデルへ、次回からは同一線上でスウェーデンの話で
す。このごく簡素な文章にここまでの理想が読み取れる、そのことは文脈上確かで、歴史の意味を拒絶す
る倒錯した常識的史観に対し、持続可能な日本への情熱再獲得のため、確かにこれしかないと感じられま
す。
 小澤先生ブログでは、日本とは常識が多分相当に違う超優等生の国が、緑の福祉国家へ舵を切った時
期の整合的な変化の力に注目です。が、彼らには自身の優れた内面的「遺産」への自覚があるのか、先の
選挙結果、確かに懸念されます。
 羽矢先生連載、ゴータマ・ブッダの思想が初めから易しく説き起こされ、その認識の根源的錯覚は、「病
気」を痛感する現代の私たちに、遥かな時を超えて百%当てはまります。
 増田さん連載、「復活」後のウィルバーの、今に至る壮大な仕事の時期の評伝です。本国では多くの批判
が最近なされているそうですが、「大きな物語」自体は揺るぎようがないと思われます。読者にはいかがでし
ょうか。 
  (編集担当)




会報 『サングラハ』 第112号  (2010年7月25日発行 A5判64頁 頒価700円)

  (記事一覧)
  近況と所感
  死後の生について 岡野守也 (研究所主幹)
  『十七条憲法』と緑の福祉国家 4 岡野守也 (研究所主幹)
  市民連続講座 緑の福祉国家 4  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  仏教思想の源流 20 ―ゴータマ・ブッダの思想 (3)  羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
  ケン・ウィルバー ―コスモスの地図の制作者 3  増田 満 (交流会員)
  私の名詩選(アンソロジー) 13

編 集 後 記 
 梅雨が明け蒸し暑い日が続きます。豪雨災害が気候変動を実感させ、社会は劣化が加速し、政治は混
迷を増すばかり…陰極まりつつある中、今号各記事は陽に転ずる手がかりとなるでしょう。
 主幹の「死後の生」の記事、納得できる人には人生観に転換を、そうでない人にも議論の出発点をもたら
す、示唆深い内容です。反発も当然ありとはいえ、それではあまりにつまらないですね。
 主幹講義録、アサジオリは今回休載、『十七条憲法』はその前半の条、和の国実現に向けたエリートへの
呼びかけです。律令国家建設の原動力となった精神が、時代を超え、これからの持続可能な日本のため
の本気さの原点になりうることがわかります。
 小澤先生のブログ連載は前回に続き、緑の福祉国家に向けた90年代スウェーデンの、政治・行政・法制
の驚くほど柔軟な変革が紹介されており、かの国の政治家から国民に至るその本気さが覗えます。
 羽矢先生の記事からは、ブッダの思想の核心とは因果論でもなく、さとり体験ですらなく、まして「わたし」
にこだわって何かを語るのではなく、ひとえにコスモロジーの根本的な転換にあることがわかります。
 増田さんによるウィルバー論、大著『進化の構造』での飛躍の前に、このような厳しくも感動的なドラマが
あったとは。その思想が人生に裏付けられたものだと再認識させられます。 
             (編集担当)





会報 『サングラハ』 第111号  (2010年5月25日発行 A5判64頁 頒価700円)

   (記事一覧)
  近況と所感
  『十七条憲法』と緑の福祉国家 3  岡野守也 (研究所主幹)
  市民連続講座 緑の福祉国家 3  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  仏教思想の源流 19 ―ゴータマ・ブッダの思想 (2)  羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
  アサジオリのサイコシンセシス(精神統合) 2  岡野守也 (研究所主幹)
  ケン・ウィルバー ―コスモスの地図の制作者 2  増田 満(交流会員)
  書評『インテグラル理論入門 I ―ウィルバーの意識論』 (評・増田 満)
  私の名詩選(アンソロジー) 12

編 集 後 記 
 これを書いている日に首相退陣となりました。ここ数代の首相の脆弱さは、国には知恵と力と人格を兼ね
備えたリーダーが必要だと痛感させます。
 さて、主幹の第一の講義録では、無関係のような聖徳太子と緑の福祉国家が、持続可能な未来に向け原
点の情熱・志を取り戻すという意味で本質的につながることが、『十七条憲法』冒頭部の解説からわかりま
す。
 小澤先生のブログ連載は、スウェーデンの「緑の福祉国家への転換の九〇年代」の紹介です。この日本
の政治とのあまりの落差は、「国の規模の違い」など本質ではなく、意識の差だとしか思えません。
 羽矢先生の連載からは、ブッダが説いた「苦」とは、ばらばらコスモロジーのもたらす人生の錯覚であり、
それは現代人の生きざまそのもので、人間である限り昔も今もそれを超える瞑想実践が必要であるという
メッセージが迫ってきます。
 主幹第二の講義録・アサジオリの心理学は、卵型の心の構造図式を中心とした解説とワークです。前個
から超個、集合的無意識から社会適応、そして覚りまで、心の可能性は驚くべきものがあります。
 増田さんのウィルバー入門は、彼の理論の進化と人間的成長がパラレルであることが示され、一見透明
でスマートな理論の背景に、激しさと人生のドラマがあることが垣間見えます。次回はさらなる波乱と飛躍の
ドラマとなるようです。  
(編集担当)



会報 『サングラハ』 第110号  (2010年3月19日発行 A5判48頁 頒価700円) 

   (記事一覧)
  近況と所感
  生死のはざまにて 11 ―ある地域医療医の死(最終回)  大井 玄 (東京大学名誉教授・医師)
  仏教思想の源流 18 ―ゴータマ・ブッダの思想(1)  羽矢辰夫 (青森公立大学教授)
  市民連続講座 緑の福祉国家 2  小澤徳太郎 (環境問題スペシャリスト)
  『十七条憲法』と緑の福祉国家 2   岡野守也 (研究所主幹)
  アサジオリのサイコシンセシス(精神統合) 1   岡野守也 (研究所主幹)
  ケン・ウィルバー ―コスモスの地図の制作者 1  増田 満 (交流会員)
  私の名詩選 11

編 集 後 記 
 気ぜわしくもうららかな春四月、本誌も新たな展開です。
 大井先生のエッセイ、残念ながら終了となりますが、今回もいっそうしみじみと心に沁みる文章で、一般論 ですがかつての日本人の心根のまじめさと情のこまやかさを、そこから遠く離れてしまった今、一種の喪失 感として感じます。
 羽矢先生の仏教思想の連載はブッダその人の目覚めの思想に入りました。前号で新連載としたのは担 当の勘違い、ご容赦ください。
 今回から交流会員・増田さんの連載がスタートです。「ウィルバー1〜5」と表現されるその思想の進化の 過程が彼の略歴を交え展開される予定で、日本でたぶん初のウィルバー入門となります。ご期待ください。  主幹による講義録は今回からアサジオリの講義の新連載が開始しました。一般に知られていない昔の人 ですが、その仕事の先駆性は驚くべきものとのことで、「心への投資」を扱う次回以降が楽しみです。
 もう一方の講義、さらにはるかに古い時代に目覚めた人・和の国実現を先駆的に主導した聖徳太子の志 が『憲法』によって事実届いていることは、日本人にとって感動的です。(編集担当)



会報109号・特集 『持続可能な国づくりの会 ―理念とビジョン―』
 (2010年1月9日発行 A5判40頁 頒価500円)

 本号は、新しい年、新しい時代に向けて、私たちの目指す方向を明らかにするという意味で、「持続可能な国づく
りの会〈緑と福祉の国・日本〉」と共有する「理念とビジョン」試案の全文をお届けします。(中略)
 ぜひ、建設的なご意見、ご批判、ご感想をお寄せ下さい。修正すべきところは修正し、足りないところは補足し
て、エコロジカルに持続可能な国・和の国日本の実行プランにしていければと願っています。


●私たちの目標を短くモットーとして表現すると、
 「協力社会で8つの安心!」 「ウェルフェア国家からワークフェア国家へ!」 ということです。

(「はじめに」より一部抜粋)

  目 次

はじめに…2
持続可能な国づくりの会 理念…5
  私たちの目標  調和と協力  公平と自由  安全と安心
持続可能な国づくりの会 ビジョン…8
  経済と福祉を相互促進関係にする社会システム…8
    経済と福祉は矛盾しない / 知識社会を促進する福祉
    ウェルフェア国家(二〇世紀型の福祉国家)からワークフェア国家(二一世紀型の福祉国家)へ
    ・ワークフェア国家とは = 新しい福祉国家の事例 / ワークフェア国家と市場経済
  経済と環境のバランスを実現する社会システム…14
    生態系(自然)の劣化 / 人間の生存条件の劣化 / 企業の生産条件の劣化 
    環境問題の基本的原因と解決の方向
  経済と福祉と環境の相互促進…25
    環境と経済の持続的発展 / 公共事業によるグリーン・ニューディール / 私たちの結論
  ほんとうの民主主義=人間尊重社会を実現する政府とは…30
    信頼できる透明な政府の必要性 / 信頼できる透明な政府の条件
  認識と意欲と倫理性…35
    認識と意欲と倫理性の必要・不可欠性 / つながりへの気づき
おわりに…39

※ 以下、文章化にあたり徹底討議に参加した特別委員の名前をあげ、また助言者の方々のお名前も併記
して、
 感謝の意を表したいと思います。
 (特別委員)  
  岡野守也  岡野千世子  小澤徳太郎  中島利行
  松原弘和  松原友美  三谷真介  森中定治
 (助言・協力者)
  大井 玄 (元国立環境研究所所長、東京大学名誉教授)
  笠松和市 (徳島県上勝町長)
  神野直彦 (関西学院大学人間福祉学部教授、元東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
  西岡秀三 (国立環境研究所理事、IPCC第二作業部会副議長)
  藤井 威 (元スウェーデン特命全権大使、みずほコーポレート銀行顧問)


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